カーネーションは、十字架にかけられたキリストを見送った聖母マリアが落とした涙の後に生じた花という言い伝えがあります。花言葉は、赤は「愛を信じる」、白は「私の愛は生きている」、ピンクは「熱愛」などで、母性愛を象徴しています。まさに大切な母親に贈る花として最適です。
カーネーションが生まれたのは旧ソ連のコーカサス地方。古く、ギリシャ時代から栽培が始まったといわれ、ギリシャ神話にも美しい娘の生まれ変わりの花として登場しています。その名前の由来にはいろんな説がありますが、ラテン語の“肉色”(Incarnation) という、原種の色からきた説、また、シェークスピアの時代には花冠として使われたことから“戴冠”(Coronation)からきた説などが主に伝えられています。
中世に入ると、しばしば絵画や彫刻に、あるいは詩や小説の中で、その美しさが表現されるようになりました。このように芸術、文芸作品を通してカーネーションは、古くから人々に愛されてきたようです。
カーネーションは、その後、ヨーロッパを中心に盛んに栽培され始め、19世紀、フランスの園芸家によって、現在のカーネーションが生まれたと伝えられています。また、20世紀には、アメリカで温室カーネーションが栽培されるようになりました。こうして誕生したカーネーションは、徳川時代に日本へやってきました。オランダ船によってもたらされたため、当時、オランダナデシコ、オランダセキチクという愛称で親しまれていました。その美しさと、ふくいくとした甘い香りから、ジャコウナデシコの和名もありました。そして明治35年、東京の新宿御苑で日本初のカーネーションが生まれました。遠く海を越えてやってきたカーネーションは、このような長い歴史に育まれていたのです。(フラワーギフト「e87.com」)